府玻 杏 展

府玻 杏 展
  • 開催日程:
  • 開催時間:
  • 開催場所:縁煌 / 加賀依緑園
  • 休廊日:木

祈りや願いをテーマに蝋纈(ろうけつ)染めの技法を用いて制作する染色作家・府玻杏(ふわあんず)氏の個展を開催いたします。壁掛け作品、タペストリー、帛紗、古帛紗、コースター、和装小物等、約70点の出展を予定しております。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。

祈り願う行為と、その時に湧き上がる感情は人間の普遍的な欲求であり、命あるものが自らの生を間接的に実感する瞬間でもあるといえる。祈り、そして願う、目には見えない心の働きを可視化するための色とカタチを追求し、染色画として制作している。日本の蝋纈染めで使用される筆とジャワ更紗で使用されるチャンチン、これらの道具を用いた染色の表現はそれぞれの国の気候や風土、独自の文化の影響を受けながら異なる発達を遂げて現代まで伝わっている。この二つの道具を用いた表現を一つの作品の中に共存させることで共鳴し、そして新たな世界観を生み出せるのではないかと考えている。チャンチンで繰り返し線を引き、何層にも色を重ねていくことそのものが、祈りに似た行為でもあり工芸的な表現に繋がる要素の一つでもあると考えている。その思いと共に制作に打ち込んでいた矢先の2024年1月1日、故郷の石川県能登町の実家で最大震度7の揺れに見舞われた。未曾有の恐怖のなか迎えた翌朝、変わり果てた故郷の漁師町は美しい朝焼けに照らされていた。この情景と色を記録しなければならない、と使命感に駆られ一連のシリーズとして制作した作品がある。祈り、願いをテーマに変わらぬ故郷の自然と豊かな色彩を筆とチャンチンによって伝え蝋纈染めによる染色画を新たな分野の工芸として創造し、確立していきたい。(府玻杏)

<略歴>
石川県出身
2013年 京都精華大学芸術研究科博士前期課程染織専攻修了 修士
2018年 金沢卯辰山工芸工房 入所
2021年 金沢卯辰山工芸工房 修了
2021-2023年 東北芸術工科大学芸術学部美術科テキスタイルコース非常勤
2021年-現在 金沢湯涌創作の森 藍工房・染織工房非常勤

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