大野 咲樹 展 -BOP-

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  • 開催時間:
  • 開催場所:La RINA Cafe Wall Art
  • 休廊日:木

金沢市を拠点に活動する、版画や写真を用いて表現するアーティスト・大野咲樹(おおの・さき)氏の展覧会を、イタリアンレストラン&カフェ・La RINA (金沢・香林坊)のカフェスペース壁面にて開催いたします。

本展では、線と面と色を用いて平面的だがそこに空間や温度感が感じられるようなイラストをシルクスクリーンで印刷した、人物の表情や余白を意識した作品や、フォトグラム(カメラを使用せずに、印画紙上に直接物を置いたりして感光させ、イメージを生成する技法)の作品をご覧いただけます。金沢・香林坊にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。

「bop」は音楽用語ではビバップ(Bebop)を由来とし、近年ではアップテンポでノリの良い曲やお気に入りの曲を指す言葉として使われています。一方、製造業において BOP(Bill of Process)は製造工程表を意味し、製品をつくるための工程を示す不可欠な指標です。
シルクスクリーンとは、色ごとに版を作成し、順番に重ねて印刷する版画技法です。絵具をその場で混色する絵画とは異なり、多色表現には、どの順番で版を重ね、どのように色を生み出すかという綿密な工程計画が欠かせません。フォトグラムもまた、原稿(版)を重ねて像を構成する点で、シルクスクリーンと共通する側面を持っています。
このように、製造業での BOP(工程表)の考え方は版画制作にも通じており、シルクスクリーンが POP アートを象徴する技法であることや、BOP/POP の語感が生む連想も重なり、工程と表現の関係を多層的に捉えることができます。
私は版画専攻の出身であり、ふり返ってみると、写真作品やイラストの制作においても、版の重なりを前提とした構成の仕組みを無意識のうちに活用してきたことに気づきました。
こうした背景を踏まえ、見えない工程と画面に現れる表現の関係を、音楽の「bop」がもつ軽やかさをひとつの手がかりとして探ります。(大野咲樹)

■ステートメント
普段からファッション雑誌を読むことが好きで、誌面に登場するモデルのポーズや背景からその場に漂う空気感まで含めたページ全体の構図に興味があります。
また私は日頃から線をモチーフにしており、線は平面と立体の違いを示す最低限の情報だと考えています。一本の線はただの平面ですが、隙間を空けてもう一本描くと帯状の立体に見えて、さらにたくさん描くと風景や何か別のものにも見えてきます。
私のドローイング作品は具体的な物がモチーフになっているわけでなく、原稿には上下がありません。だれかの他愛もない話に相槌を打ちながら、手持ち無沙汰でペンを動かすような気分を意識しながら描いています。
いかに少ない手数で立体感や空気感を見せるかを意識しながら、日々ドローイングをしています。

■プロフィール
大野咲樹 OONO saki
1997年生まれ 高知県出身
2019年 京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画コース 卒業
2021年 京都市立芸術大学大学院美術研究科 絵画専攻 版画 卒業
大学卒業後、2年ほど京都での作家活動をへて、2023年から金沢に移住し、現在、金沢美術工芸大学で技術専門員として勤務。

■主な展覧会
2017年 グループ展「naki.」 ( kara-S / 京都)
2018年 グループ展「fermata」 ( アートギャラリー北野/ 京都)
2019年 二人展「ぞんざいな存在」 (多次元ギャラリー『キョロキョロ』/ 京都)
2019年 グループ展「圧力の湊」 (アートゾーン神楽岡/ 京都)
2020年 二人展「The garden of the ray 6 – Irradiation and emission- 大野咲樹・星野想子」(Oギャラリーeyes /大阪)
2020年 個展「graph」(KUNST ARZT/京都)

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